第4回SFCI総会に参加して

キリンビール株式会社医薬事業本部開発部 ヒト抗体事業担当
石田 功 樹


 事務局をされている久留米大医学部の伊東恭悟先生にご紹介いただき、今回初めて基盤的癌免疫研究会に参加させていただきました。弊社では、独自に開発しましたヒト染色体断片を持つ動物を作製する技術、“TransChromo(TC)技術”を保持しています。この技術を応用して、巨大ヒト抗体遺伝子全長を保持し、多様なヒト抗体を生み出すマウスを完成させました。このマウスは抗原を免疫すれば、通常のマウスと同様な抗原特異的な免疫反応が起こり、通常のハ イブリドーマ作製によって、容易に高親和性のヒトモノクローナル抗体が得られます。私達は、このマウスをできるだけ多くの研究者の方々に使っていただき、ヒト抗体医薬品開発につながる芽を育てていただきたいと考えています。今井浩三(札幌医科大)先生とゴールデンバーグ先生(Immunomedics社)のご講演でも述べられましたように、1975年にケラーとミルシュタインにより発表されたマウスモノクローナル抗体法は、遺伝子工学の技術発展によりヒト型抗体にして免疫原性を低減させることができるようになり、20年以上経た現在においてヒト抗体医薬品として開花するに至っています。その意味において、弊社のヒト抗体産生マウスは、ヒト抗体作製法の世界標準となり得るものと確信しております。札幌で行なわれた第四回基盤的癌免疫研究会では、多くの先生方に、弊社の技術を知っていただき、興味を持っていただく良い機会となったこと、大変感謝しております。現在では、何件かの共同研究が実際に始まりつつあります。これからも、本研究会に出席させていただきたいと思っています。