研究会趣旨・概要

研究会概要/Society outline

日本がん免疫学会(Japanese Association of Cancer Immunology: JACI)は、癌免疫の臨床・基礎の第一線で活躍している医師・研究者に最新の情報を基にした討論の場を提供し、癌免疫研究の発展および真に科学的な免疫療法の開発を図り、国際的に高く評価される研究をうみだす基盤形成を目的として平成8年12月に発足しました基盤的癌免疫研究会が2009年新たに日本がん免疫学会と名称を改めよりいっそうの発展を目指しております。

 がん免疫療法は外科的療法、化学療法、放射線療法に次ぐ第4の治療法として長年注目されておりますが、現在までに、抗体療法など一部の治療法以外は、まだ標準的治療としては十分に確立されておりません。しかし、最近の分子生物学・免疫学の進歩、具体的には、ヒト腫瘍抗原の分子同定、HLAテトラマー技術の開発、樹状細胞生物学の進歩、Toll like receptorの解明などのいくつかのブレイクスルーにより、抗体療法だけでなく、細胞性免疫を利用する免疫療法も、これまでとは異なり科学的根拠に基づいた開発が可能になっており、現在、欧米では、製薬企業による肺癌に対するがんワクチンの大規模第三相臨床試験が進行中です。すでに標準治療として確立された抗体療法においても、現在、さらなる新規抗体の作成、抗体の高機能化、適切な使用法の開発が大変期待されております。

 本学会の会員数は約520名(2019年1月現在)、基礎の研究者、臨床医から学生まで、大学等研究機関、病院、企業を問わず幅広い層により構成されています。また現在の主な役員として、理事長 河上裕(慶應義塾大学先端医科学研究所)、副理事長 鳥越俊彦(札幌医科大学 第一病理学)、理事(国際委員会)玉田耕治(山口大学細胞シグナル解析学)、西川博嘉(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)、理事(若手育成)藤井眞一郎(理化学研究所)、理事(利益相反)神奈木真理(東京医科歯科大学免疫治療学)などの全国研究機関の第一線の研究者・医師で組織されています

 本会が毎年開催する総会は、これまでに22回開催されておりますが、1-2名の著名な外国人演者を招待して、基礎研究のシンポジウムと臨床応用のワークショップを開き、近年話題になっているトランスレーショナルリサーチを学会設立当初から推し進めて参りました。本年は、高知大学医学部・宇高恵子会長の下で「腫瘍という場」をテーマとして開催されます。海外から著名な外国人演者が招待され国内からも多くに第1線でご活躍の癌免疫研究者が集います。近年、文部科学省、経済産業省、厚生労働省など、国から臨床試験用の大型研究資金が提供されるようになりましたが、その中には、本学会会員によるがん免疫療法の臨床研究も多く含まれ、これまでに本研究会総会にて何度も発表議論されることにより、基礎から臨床までの問題点の抽出、その克服が試みられたものであります。したがいまして、本学会は日本における癌免疫研究の中心的役割を果たしているだけでなく、日本におけるトランスレーショナルリサーチ実践の最先端を歩んでおり、日本の医学研究の一つの方向性を決める重要な会であると自負するとともに、重大な責任を負っていると考えております。このために会員の努力により、更なる発展を願っております

 

平成31年1月吉日
日本がん免疫学会理事長